作陶技法のポイント [ご飯茶わん]

ご飯茶わんの嘆き (-_-)

ご飯茶わん

毎日使う「ご飯茶碗」は作りたいものの一つです。

しかし、なかなか気に入ったのが出来ません。

 

なんで?

確固とした「お気に入り」の「茶碗」イメージが具体的に頭の中に出来ていない?

これが以外と難しい。

そこで、何となくイメージがはっきりしないままで作り始めてしまう。

 

こんな感じで行き当たりばったりに・・・(^_^)

土選びのとき・・・白っぽい色が良いかな? 内側が黒っぽい方が白いご飯が美味しそうかな?

やっぱり白っぽいので行こう。

成形中には・・・側面の「ふくらみ」具合、上面寸法と高さの比率、高台の大きさ、あれこれ思考錯誤しながら作る。

焼成後の「縮み」に対する大きさイメージが今ひとつ実感出来ない。ついつい出来上がり大きさで作ってしまう。

施釉のとき・・・白っぽい土だったから、透明釉かな?

でも、ただ白いだけではつまらないな。外側に「呉須」で青い絵でも描こうかな?絵心が無いからそれも難しそう。

丸とか三角とか模様程度にしよう。

結局、たて線を何本か描き、石灰透明釉を施釉する。

焼成の出来上がり感想・・エー!こんなに小さいの?赤ちゃん用みたい。

縦線だけで殺風景だなー。高台も大き過ぎて不格好。

側面の曲線が膨らみ過ぎて下ぶくれー。変なの!

  とまあこんな感じの経験をしていません?

 

まあまあ、悪いところばかりを探さないで使ってみては?

だんだん愛着が湧いてきてお気に入りの一つになるかも知れませんヨ。以外と

”ぽっちゃり”で可愛いじゃん!と、いいところも見えるようになるものです。

 

日常に使っている茶碗に対する自分のイメージが、無意識の内に漫然とではあるがしっかりと出来あがっていて、それから外れた部分が「欠陥」に見えてしまいます。

この思いが強い分、「ご飯茶碗」の作陶が難しく感じられるのです。

それだけに、再挑戦のし甲斐も有るというものです。



ご飯茶碗を作る(手順)

1.出来上がりイメージ

出来上がりのイメージをしっかり持ちましょう。

今回は、白っぽい色にしようと思います。

ただ白いのでは「磁器」のようで面白くありませんから、土は少し薄赤味のある白さにします。

外側には何か模様を付けみたいと思います。

大きめの碁盤目の中に模様を描き込み、「市松模様」に似せてみましょう。

(いつか見た益子焼きの浜田庄司の湯呑み図柄を真似て)

碁盤目は呉須の細い青色線。

碁盤の千鳥枠に鬼板の茶色や呉須の青で簡単な模様を"いい加減"に描き込んでみます。

これらの図柄をはっきりと出すため、釉薬は「黄瀬戸」を薄めに使います。

粘土を練り合わせる

2.粘土の用意

 白い「古信楽(細)」に鉄分を含んだ「赤2号」を少し練り合わせます。

今回は白/赤比は約5:1です。

ムラの無いように良く練り合わせます。

 

高台寸法の決定

2.高台の大きさ

 粘土400g切り取り、ロクロの上で両手で形を整えた後、へらなどを使ってブレの無い様に高台の大きさ(直径、高さとも)を決めて成形します。

以後の成形中も意識してこの高台の大きさは変えません。

粗成形

3.租成形

粘土を指で内外からつまみ、厚みを少しずつ薄くしていきます。

つまんだ指を離すとき指幅分ロクロを回す気持ち持っていると、ロクロは自然に必要な分回ります。

何回転も繰り返して、およその肉厚と大きさに成形します。

一度に薄くしようと大きく変形させると、土割れ(ヒビ)などを起こしますので少しずつ変形を繰り返します。

回転ブレをとる

4.回転ブレをとる

ロクロを勢いよく回し、内面に指を適度な力を加えて当て、下から上に移動させながら回転ブレを修正します。

指先に強く当たるところは「土に負けない」ようにしっかりと押し返します。

弓切り

5.上端を弓で切り揃え

必要に応じて「弓」で上端を切りそろえます。
皮に水を含ませ上端を締めるように形を整えます。

弓はしっかりと持ち動かさないで、土に負けないように

 

 

表面を滑らかに

6.表面を滑らかに

水を含ませた皮で、内外面を充分にぬらします。

左手でロクロを連続して回しながら、右手の指先で粘土を適度に摘み、「指跡」の付いた表面をなめらかにしていきます。

同時に、肉厚のムラも修正します。

つまんだ指先には厚みの違いを感じるはずです。

厚く感じる箇所を強く摘み返して均一な厚みにしま

               す。

胴部を膨らませる

7.胴部にふくらみを与える

ロクロを廻しながら、水を含ませた皮で内面を充分に濡らして、内側から指の腹を当てて少しずつ外にふくらみを付ける。

回転している作品に指を押し当てるときは、徐々に力を加え、離すときも徐々に力を抜いていく。

少し離れた位置からも眺めて、丹念に形を観察し、見極めます。

口元の成形

8.口元の成形

最上部は親指も使ってふくらみを加減します。

親指と人差し指の力の加える方向を加減して口元を広げたりすぼめたりします。

 

寸法の確認

9.寸法の確認

寸法は焼成後の出来上がりの1.15倍です。

今回は出来上がり12cmの予定ですから、12×1.15=13cm必要です。高さも測ります。

この後、半乾燥させて高台削りをします。

次の削り作業の出来る時間に合わせて適度の乾燥状態となるようにビニール袋などでカバーした養生が必要です。

高台を削る

10.高台削り

必要によりビニール袋などで覆い、1,2日後、適度に半乾きになったら高台の内外を削り、形を整えます。

乾き過ぎると硬くてなかなか削れません。

柔らか過ぎても削り跡が虫食ったようになります。

放置環境と作業可能な時間の調整に注意が必要です。