作陶技法のポイント [重たい器]

陶芸教室などで作ったものがどうにも重たい」と感じることがありませんか?

大きさに比べ肉厚が厚いからだということはご存じの通りです。

肉厚が厚ければ、形良く成形する事にさほどの苦労はいりません。

初めのうちは格好良く出来た時点で成形を完了してしまうので、

重たい器が出来てしまうのです。

 

「軽い器」に目覚めて、薄い肉厚に挑戦しましょう。

 



肉厚の違い

重たい、軽いは大きさに対する相対的なものです。
同じ重さでも大きい方が軽く感じられます。

 

左の写真は肉厚を薄くする前と後の比較です。
ご飯茶碗で実際の肉厚寸を計ってみました。
焼成後の出来上がり寸法で成形した段階での

肉厚は(薄くする前)5mmです。
さらに薄くして、焼成後の収縮を考慮した大き

さまで拡大成形した肉厚は(後) 3.5mmでした。

 

 

薄い肉厚に挑戦する

1.肉厚の限界

肉厚は薄ければ良いと言うものでもありません。

磁器とは違い、陶器は「土物」ですから本来もろい物です。

もちろん粘土の種類にもよりますが、強度を得るためにも「磁器物」よりは厚くする必要があります。

2.最適の肉厚

何ミリメートルが最適でしょうか?

数値では決められません。

器の大きさや目的によっても異なるでしょう。

第一、作っている最中に何ミリメートルになったかなどは判りません。

 (熟練してくると想像は出来るようになるでしょうが・・・)

最適な厚みは、完成して手に持ったとき"軽い"と感じられる厚さです。

無責任ですみません。

3.薄さの境目

成形途中で肉厚を推し測る道具は指先の感覚のみです。

つまんでみて"これくらいかな?"と感じる訓練が必要となります。

抽象的ですが、成形中形の崩れに心配ない、安心できる肉厚ならまだ厚過ぎと思っても差し支えないでしょう。

4.適度な肉厚の目安

成形寸法は焼成したときの"縮みシロ"を考慮して大きめに作ることはご存じの通りです。

まず(貴方の今まで通り)安心して成形できる肉厚で器の完成寸法に作ります。

次に肉厚を薄くしながら15%の縮みシロを考慮した大きさに拡大仕上げます。

恐らくこれで適度の"軽い肉厚"になっているはずです。

   (下の写真参照)

5.指先で覚える

薄くなった肉厚の感覚は指先で覚えましょう。

つまんでみて、"頭"ではなく指先の感覚で計りましょう。

肉厚の違い

写真(左)は完成品寸法での厚さ(重い)

写真(右)はさらに薄くして、焼成収縮分大きくした厚さ(軽い)

 

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