ご飯茶碗

 

スッポリと手の中に馴染むような形を目指します。

(スケッチは完成目標です)

 

「ご飯茶碗」は余りにも日常的。

既成イメージを乗り越えたい!

奇抜な形でもなく、チョットだけ日常から離れられて、しかも自分用として定着し、新しい”日常”のマイ茶碗になってくれる様なもの。

 

欲張って色々書いたけど、難しく考えてイメージを作った訳でありません。

漠然との思いを描いているうちに上図のような形になりました。

出来上がったイメージを後付けで文字として表現してみると、上記のようになっただけです・・・

作陶手順

出来上がりの風合い

色の風合いは赤系粘土(実際は赤ではなく茶色系)をベースに地肌色を残しながら内外に白い釉薬をかけ、全体として自然な風合いにしたい。


粘土選び

赤2号粘土(写真左)

これは粒度の細かいやや”赤”が強い茶色の一般的な粘土。

楽赤土(写真右)

かなり柔らかい赤で、茶色が弱い粘土。

 

これら2種類を練り合わせて、赤みの強い茶色を出してみたい。

混練り比 赤2号:楽赤土 比1:1

粘土の総重重は1個の大きさと個数により決める。 

ここでは、小さめの茶碗、230g/個

     中くらい(標準的)300g/個

     大きめで400g/個

それぞれ5個として

合計粘土量=(230+300+400)×5

     =約5㎏

 

2種類の粘土を秤で同じ重さ用意する
2種類の粘土を秤で同じ重さ用意する

土の練り

重ね合わせ

異なった粘土を薄くのばして重ね合わせ、幾度か切り重ねて混ざりやすくします

(写真の粘土は約2㎏です。大量の粘土を一度に練るのはキツイので、少しづつ練っています)

 

 

荒練り:内側に粘土を巻き込みながら、必要に応じて手水を加え、粘土の硬さを調整しながら、凡その色ムラが無くなるまで練りこみます

 

 

 

 

 

 

菊練り:仕上げの練りで、菊の花の模様になる様に練りを繰り返すことで、内部の空気を極力抜きます。

薄めにして重ね合わせる
薄めにして重ね合わせる
幾度か手で切って更に重ね合わせる
幾度か手で切って更に重ね合わせる
粗練り
粗練り
菊練り
菊練り

成形

手ロクロを使う

卓上置きの手ロクロを使い、焼成時の”ゆがみ”をも期待します。

 

 手ロクロでは電動ロクロとは違い、成形時の回転ムラや指先のちからムラが出るため、成形品にひずみが残り焼成時には多かれ少なかれ、歪みが出ます。 

初期成形(以下、左の動画で詳しく)

茶碗サイズ一個に見合った量の粘土を切り取り、手に中で円柱形にします。

これをロクロ中心に”ドン”と置いて、少しずつロクロを回しながらしっかりと据え付けます。

均質な厚み

親指を中心押し込みながら、指先で粘土を強めにつまみ、ゆっくりとロクロを廻しながら丁寧に予定の形に近づけていきます。

指で一つまみしたら、つまんでいる指で指幅だけロクロを廻します。

底に残す暑さは1㎝が目標です。

指を移動するのではなく、ロクロを移動して指の位置に粘土を動かします。

くどい様ですが、指は同じ場所でつまむだけで、ロクロを廻し粘土の位置を変えていきます。

取り敢えずの目標厚みは4mmくらいです。

凡その肉厚に達したら、ロクロをしっかり廻しながら、他方の手の指先に力を入れて固くし、器の内側に適度に押し当て、全体の円形ムラを修正します。 

(底部に注意!!)内側底部は中心のみへこまないよう、高台の大きさ位の平らな広さを作ります

ロクロ引き(指でつまみながら引き上げる)

器の内外になめし皮を使い、たっぷり水で濡らします。指が良く滑るようになります。

(注)余分な水が底に溜ったら、よく絞ったなめし皮で拭き取ります。

ロクロを回転させ、他方の指で側面部を適度につまみ、指の跡を滑らかにしながら、全体的にもう一息肉厚が薄くなるよう、丁寧にロクロを回し続けます。

上部から薄くして、だんだん下まで薄くしていきます

下のほうを先に薄くすると、腰が弱くなり形が崩れ易くなりますので、注意が必要です。

 

目標肉厚:3㎜くらい、 とは言っても寸法の測る方法もありませんから、” フニャッとなる直前 ” くらいまで薄くします。

 

仕上げの ” 指跡 ” 付け

十分に薄くなり口元も整ったら、いよいよ仕上げです。

内外面ともなめし皮で水を付け、ロクロをゆっくりと廻しながら、もう一方の指先で肉厚部を少し強めにつまんだままで、下から上に向かって移動させ、螺旋状の指の跡を付けます。

胴部の輪郭形状が、膨らみ過ぎないよう注意します。

つまんだ指跡幅が、一回転で一段上に移動する程度のピッチが適当です。

 

姿の修整

目線をロクロ高さまで下げて、胴部の輪郭線を確認し、必要であれば修正します。

ロクロを勢い良く廻しておいて、上端外側を指で支えながら、もう一方の指で輪郭線の膨らみの足りない部分を、内側から少しづつ押しながら修正します。

もちろんこの時の目線はロクロの高さで、輪郭線の変化の様子を見ながらの作業になります。

 

完了したら、シッピキ(細い針金)で高台下を切り離します。

 

底の高台削り

少し乾燥して土が締まってきたら(*)、裏側高台部を削ります。

高台を上にしてロクロに伏せ、中心ブレを修正したら粘土で固定します。

適切な形状のカキべらを使い、高台側面と根元を仕上げます。

次に底部畳付きの幅を5㎜程度残し、内側の余分肉厚を削り取ります。今回は底面を渦巻き模様に仕上げました。

 

(*)自然乾燥の程度:かきベラで削りやすくなる程度は、そのまま放置なら半日前後、又、ビニール等で覆いをすれば数日位、ご自分の作業のタイミングに合わせて決めてください。

シッピキ切り離し
シッピキ切り離し

完全自然乾燥

大、中、小、3種類の茶碗です。

それぞれ5個ずつ作りました。

 

残り作業工程は素焼き、釉薬かけ、本焼きですが、窯焚きまで時間が空きますので、その時期になれば続きをアップします。